1.仕事中にフォークリフトに轢かれ、右足を膝下から失う
大阪在住のXさんは運送会社に勤務されていましたが、私有地内である会社駐車場で資材を運んでいる途中に、倉庫からバックしてきたフォークリフトに轢かれるという交通事故に遭われました。
フォークリフトの運転手はXさんの存在に気が付いていなかったらしく、最初の衝突後、路上に転倒したXさんの右足に乗り上げました。
その結果、Xさんは右脛骨開放性粉砕骨折・右下腿部広範囲デコルマン損傷等の深刻な傷害を負い、下肢を温存することが困難であると判断されたため、膝関節離断術を受け、右膝関節下欠損となりました。
その後Xさんは義足を作成し、事故後、約1年間のリハビリを受けた上で症状固定となりました。
2.会社側から損害を否定されたため、賠償責任を認めさせる目的で来所
当初 会社側は、損害について「十分な補償はする」と回答していたことから、Xさんは警察に被害届を提出されず、交通事故に関しては内々で処理されることになりました。
しかしその後、会社との間で事故状況や過失割合について大きな認識の違いがあることが明らかになりました。
会社側は、本件交通事故についてはXさんの過失が極めて大きく、労災保険のみで解決すべき事案であると主張。支払うべき賠償金は存在しないと言いました。
Xさんは「会社側の主張は受け入れられない」として、今後の加害者側との交渉と裁判を依頼するため、当弁護士事務所に来所・相談されました。
当弁護士事務所はXさんから当時の交通事故の状況についてお聞きし、Xさんにも相応の過失があることは否定できないが、Xさんの過失がフォークリフト側の過失よりも大きくなることは考え難いと説明しました。
その上で当弁護士事務所は、Xさんが右足を膝関節下で欠損されたことから、後遺障害は4級5号に当たることを指摘し、後遺障害の性質上、将来に渡っての逸失利益・介護費用・自宅改造費用など、Xさんの将来に関わる費用が争点となることから、賠償責任については徹底的に争わなければならないと説明しました。
Xさんは当弁護士事務所の説明・方針にご納得され、委任契約となりました。
まず当弁護士事務所は具体的な事故状況を確認するため、刑事資料の有無を確認しました。その結果、実況見分などは作られていなかったものの、事故直後に警察官による簡易な捜査は行われていたことが確認できました。
そこで当弁護士事務所は当時の捜査担当の警察官との面談をお願いし、衝突位置やおおよその事故状況を確認した上で改めて被害届を提出し、正式な捜査が行われることとなりました。
当弁護士事務所は刑事資料を確認した結果、十分に過失割合を争えると判断。
大阪地方裁判所に提訴しました。
3.裁判で有利な過失割合を認定。介護費用・自宅改造費等も認定
裁判では過失割合のほか、介護費用・逸失利益など、多くの争点が問題となりました。
3-1.過失割合
過失割合について加害者側は、現場は業務中の車両が通行することが予定された私有地であることから、一般道路と異なり、歩行者よりも車両の通行が優先されると主張し、加害者側には過失は存在しないと主張しました。
これに対して当事務所は、労働安全衛生法・同規則がフォークリフト等を用いて作業を行う事業所内の安全基準を定めており、事業所内の労働者・歩行者を保護していることを指摘し、私有地である会社駐車場内であっても、歩行者の安全が保護されることは変わらないと主張をし、且つ、同様の判断を行った判例を証拠として提出しました。
裁判所は当方の主張を受け入れ、事故当時の状況からXさんにも相当程度の過失があることは確かであるが、加害者の過失の方が重大であることを認めました。
3-2.家屋改造費、介護費用
また当事務所はXさんの下肢欠損による日常生活への影響、義足適合性の問題、家族による介護の実態を明らかにし、Xさんが最低限の生活を送るためには自宅の改造、将来に渡る介護費用、装具費用等が必要となると主張しました。
大阪地方裁判所の裁判官は、当方の主張する装具費用・自宅改造費をすべて認めた上で、“これらの環境を整えたとしても、なお家族による介護の必要性も否定できない”とし、介護費用の一部を認める認定をしました。
3-3.逸失利益
その他 加害者側は事故後、会社側からXさんを解雇した訳ではなく、雇用継続も考慮していたのであるから、Xさんの希望次第で仕事の継続は可能であり、逸失利益は存在しないと主張しました。
当弁護士事務所は、Xさんは下肢欠損により通勤自体が極めて困難であるだけなく、本件事故後の経緯から、Xさんが関係の悪化した会社に勤務を継続することはあり得ないことを指摘しました。
裁判所は当方の主張を認め、全額の逸失利益を認定しました。
最終的に、Xさんの事案では総額 7,800万円で解決することが出来ました。
おわりに|交通事故問題は弁護士の手腕によって大きく解決結果が変わる
本件のような重篤事案では、被害者の方の将来のためにも十分な慰謝料・賠償金を獲得する必要がありますが、加害者側との争いは深刻なものとなります。
このような事案では、事故後の対応や証拠収集の出来が結果に直結することも多く、法的な専門知識だけでなく、重篤な交通事故に関わった豊富な経験が必須となります。
交通事故により重篤な傷害を負われた方は、今後、加害者側との争いになることが想定されますので、早い段階で交通事故専門の弁護士に相談されることをお勧めします。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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