小学生低学年で事故に遭い頭部外傷。事故後、徐々に異常行動が目立つようになり、当弁護士事務所にご相談頂く。

Ｏさんは高速道路で自動車に同乗中に、大型バスに追突されるという交通事故に遭い、脳挫傷・くも膜下出血等の傷害を負って、約3週間の入院を余儀なくされました。

事故当時Ｏさんは小学生低学年でした。ご自宅に帰った後も、Ｏさんは頭痛等の症状が強く、1年近く小学校をお休みせざるを得ませんでしたが、その後、徐々に学校に復帰できるようになりました。

事故後、Ｏさんは、兄弟間での喧嘩が多くなり、その場に応じた言動を取らないといった様子が見られましたが、Ｏさんの御両親はＯさんの個性と考えており、異常とは認識していませんでした。

しかし、時間が経つにつれて、Ｏさんの普段の生活状況について、学校からも指摘されるようになり、Ｏさんの御両親も事故前との違いを認識されるようになりました。

Ｏさんの御家族は、Ｏさんの将来に不安を感じ、後遺障害申請や損害賠償請求について解決するため、当弁護士事務所にご相談・ご依頼されました。

脳画像や神経心理学的検査に加えて、事故後の日常生活・学校生活への支障を明らかにし、高次脳機能障害３級３号の認定

当弁護士事務所は、Ｏさんの御家族からお話をお聞きし、事故直後から重度の意識障害が継続していることや、脳挫傷等の脳実質への損傷があることから、Ｏさんの症状は高次脳機能障害によるものである可能性が高いと判断しました。

そこで、まず、当弁護士事務所はＯさんのカルテや脳画像を収集・検討しました。その結果、Ｏさんは診断書上では脳挫傷と診断されていましたが、脳梁等の脳の中心部分に出血・損傷があり、高次脳機能障害の原因となる脳軸索損傷が強く疑われる状況であることが確認できました。

また、Ｏさんに脳の専門医を受診して頂き、診察・神経心理学的検査等を受けて頂いたところ、Ｏさんは記憶力・注意力・情緒機能の低下が認められ、学習面・生活面に大きな支障が出ていることが明らかになりました。

そこで、当弁護士事務所は、Ｏさんが通う小学校の担任の先生に学校生活上の支障を確認したところ、学習面での遅れや学校生活での支障が大きく、支援を必要とする状態にあることが分かりました。

当弁護士事務所は、脳画像や神経心理学的検査結果等の医証に加えて、日常生活・学校生活上の支障に関する資料を加えた後遺障害申請を行いました。

その結果、自賠責保険は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」と判断し、Ｏさんの高次脳機能障害は３級３号に該当すると認定しました。

将来にわたる見守り費用や逸失利益を認定。総額8,500万円超で解決

その後、自賠責保険から認定された３級３号をもとに当弁護士事務所で損害賠償額を計算し、加害者側保険会社との示談交渉を開始しました。

Ｏさんの場合、小学校に通うことが出来る状況にはありましたが、学校側の支援を受けて生活をしていました。このため、当弁護士事務所は、Ｏさんには今後も一定の見守りが必要になる可能性が高いと判断し、将来の見守り費用を請求することにしました。

加害者側保険会社は、当方の主張に対し、医療調査等を行い検討しましたが、最終的に当事務所の主張を認め、Ｏさんに対し、将来にわたって見守り費用を認めました。

また、逸失利益についても、就労年限までで全期間の逸失利益を認めました。

その結果、Ｏさんの事案では、総額8,500万円を超える金額で解決することが出来ました。

Ｏさんのように、お子様が重傷頭部外傷を負った場合、家族など周囲の人は命が助かったことに気持ちが向いてしまい、交通事故によるお怪我によって発生した変化や異常に気付くことが困難なことがよくあります。

子ども・若年者の頭部外傷・高次脳機能障害の場合、脳損傷による能力低下に加えて、脳の成長と精神機能の発達が影響を受けるため、学習遅滞や生活への適応困難が生じていないかは大人の場合よりも長期間かけて判断する必要があります。

学年が上がってクラス替えがあり新たな人間関係の構築が必要となる、進学するにつれて授業のペースについていくことが難しくなっていく等という状況により、徐々に生活への適応困難が明らかになってくるのです。

お子様が重傷頭部外傷を負われた場合は、お子様の将来のためにも、長期間に渡って状況を確認し、その後の対応を検討することが重要になります。

お子様の交通事故で少しでもご不安なことがございましたら、当弁護士事務所にご相談下さい。

文責　プロスト法律事務所　弁護士　林　征人

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