骨折後の後遺障害 ① 被害者側主導で検査を行う必要性
交通事故で骨折などの傷害を負われた被害者の方のうち、相当な割合の方が、
「骨は問題なく癒合(ゆごう)したはずなのに、痛みや可動域制限などの症状が改善しない」
という状況を経験します。
これは、骨の周囲の軟部組織の損傷が大きいという場合もありますが、骨折後の骨の変形や不整癒合(ふせいゆごう)、関節靱帯などの損傷が見過ごされている可能性があります。
病院は治療の専門家。後遺障害を探してはくれません。
骨折の治療は、骨の機能回復が最大の目的です。
医師は、折れた骨の位置を元に戻し(整復)、固定することで、骨の癒合(ゆごう)をうながします。
ただし、骨折の程度が大きい場合などは、交通事故以前の状態と全く同じ形に戻すことはできません。
骨折後の転位が大きい場合や複雑骨折の場合、医師は骨折部の安定と機能回復のため、外固定や内固定(金属製のピンやプレートにより固定する手術)で整復に努めます。
この場合、骨には多少の「変形」が残ることが多いですが、大きな変形でなければ機能回復のための「許容範囲内」の変形ということになり、問題とはされません。
しかし、実際には、この「変形」が痛みや可動域制限などの後遺障害の原因となり、症状が残る場合もあるのです。
被害者側で主導して検査を行う必要性
医師は骨折後の変形を問題にしていませんので、多くの場合、医師が作成する診断書では骨折後の変形・不整癒合(ゆごう)は記載されません。
また、医師は、骨折治療のために画像検査を行いますので、骨折後の癒合状況を確認するためのレントゲン撮影はして貰えますが、骨の変形・不整癒合を明らかにするための画像検査は通常行いません。
このため、これらの後遺障害を明らかにするためには、被害者側が主導して検査を依頼し、骨折後の異常を明らかにしなければならないのです。
骨折後の後遺障害の典型例については、「骨折後の後遺障害②」で御説明します。
ただ、被害者が自分自身で後遺障害の見通しを立て、証拠集めを行うことは困難です。
骨折後、長期間にわたって症状が改善しない方、後遺障害申請の進め方に悩まれている方は、一度交通事故専門の弁護士にご相談することをお勧めします。
当事務所では、相談室にモニターを設置しており、画像をお持ちいただければ、実際に画像を確認しながらのご説明も行っております。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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