骨折後の後遺障害 ② 骨折後の典型的な後遺障害
前回「骨折後の後遺障害 ①」でご説明した通り、交通事故で骨折などの傷害を負われた被害者の方のうち、骨は問題なく癒合(ゆごう)したはずなのに、痛みや可動域制限などの症状が改善しない方の場合、骨折後の骨の変形や不整癒合、関節靱帯の損傷などが見過ごされている可能性があります。
今回は、骨折後の典型的な後遺障害について御説明します。
関節面の不整
骨折が関節面に及んでいる場合、骨癒合後も関節面の不整が残ってしまう可能性があります。
骨折自体は癒合したとしても、関節面に凹凸が残ってしまった場合、関節に体重が掛かったり、関節を動かす際の負荷により、痛みが発生します。
関節面の不整は、病院では問題とされにくい後遺障害の一つで、通常は、許容の範囲内の変形として放置されますので、被害者側で変形を証明する必要があります。
関節面の不整による疼痛を証明することができれば、後遺障害12級13号が認定されます。
骨折後の癒合不全(ゆごうふぜん)・変形癒合
開放骨折や粉砕骨折などの治療が難しい骨折では、骨折後に癒合不全や変形癒合が残存する場合があります。
*癒合不全 骨折部の骨癒合が途中で止まってしまうこと。
*変形癒合 骨折部が転位した状態のまま癒合するもの。(転位:ズレ)
これらの場合は、医師から指摘されるのが普通です。ただし後遺障害を獲得する場合、医師が症状経過の確認のために撮影する画像では不十分な場合が多く、癒合不全や変形癒合を証明するための検査が必要となります。
特に、上肢・下肢に偽関節を残す場合等は、重大な後遺障害(7級若しくは8級)が問題となりますので、適切な検査を行うことは極めて重要です。
下肢短縮障害
下肢に転位の大きい骨折を負った場合、下肢短縮の後遺障害(短縮の程度により、8級~13級)が残存する場合があります。
下肢の短縮障害では、医師による計測だけでは後遺障害は認定されず、画像上も下肢長の短縮が確認できる必要があります。
このため、被害者側は、医師に依頼し、左右の足の比較ができる、両下肢全体が写る1枚のレントゲンを撮影する必要があります。
腱板・関節靱帯等の損傷
関節近傍部の骨折を負った場合、関節にも強い衝撃を受けることになりますので、腱板・関節靱帯等の損傷を伴うことがあります。
転位の大きい骨折を折った場合には、内固定(金属製のピンやプレートにより固定)を行うことが多く、抜釘までの期間はMRIを撮ることも出来ないため、骨軟部組織の損傷は確認されないことが少なくありません。
抜釘後も疼痛や可動域制限等の症状が継続する場合には、骨軟部組織の損傷を確認するため、MRI撮影などの検査の必要があります。
骨折後に見落とす可能性がある典型的な後遺障害については以上の通りですが、骨折の部位・程度によっては、別の後遺障害を検討する必要があります。
後遺障害獲得のためには、症状や骨折の内容・程度により見通しを立てて、適切な検査を受け、証拠を集める必要があります。
交通事故の後遺障害申請の進め方に悩まれている方は、プロスト法律事務所にご相談下さい。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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