高次脳機能障害の意識障害について
交通事故による頭部外傷直後の意識障害は、高次脳機能障害の原因とされる「びまん性軸索損傷」の特徴的所見です。
このため、脳神経外科では脳外傷の重症度を予測する要因として、「頭部外傷後の意識障害」が重視されています。
JCSとGCS
一般に用いられる意識障害の検査として、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)とGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)があります。
JCSでは、刺激しても覚醒しない昏睡状態を100~300までの3桁で、刺激で一時覚醒する半昏睡状態を10~30の2桁、覚醒状態にある軽度の意識障害を1~3までの1桁の段階で評価します。
GCSでは、意識レベルを開眼反応(E)4点満点、言語反応(V)5点満点、運動反応(M)6点満点、合計15点満点で評価します。
この結果、8点以下が重症、9点から12点が中症、13点以下が軽症です。
自賠責後遺障害における意識障害の評価
自賠責保険における高次脳機能障害の判断においても、脳外傷の重症度予測として、頭部外傷後の意識障害は重視されており、高次脳機能障害の後遺障害申請に当たっては「頭部外傷後の意識障害についての所見」という診断書の提出を求められます。
<画像見本>
自賠責保険では、高次脳機能障害を疑う基準として、
『受傷直後において、半昏睡から昏睡で開眼・応答しない状態(JCSが3~2桁、GCSが12点以下)が6時間継続』すると高次脳機能障害発生のおそれがあるとされます。
また、『外傷後健忘あるいは軽度意識障害(JCS1桁、GCS13~14点)が少なくとも1週間以上継続』すると、高次脳機能障害発生の可能性が出てくるとされています。
交通事故による頭部外傷直後から、上記要件を満たす意識障害が発生した場合には、高次脳機能障害の発生が強く推認されることになります。
このため、事故後から高次脳機能障害の発生を意識し、脳損傷の有無・程度を確認するための画像検査、記憶障害・判断力低下・遂行機能障害などの全般的な神経認知障害や社会行動障害・情動障害を確認するための神経心理学的検査を行う必要があります。
そして、十分な治療・リハビリの結果、非可逆的な(元に戻らない)症状が残った場合には、高次脳機能障害として、症状や現状に見合った、適切な後遺障害等級を受けなければなりません。
意識障害が上記基準を満たさない場合
頭部外傷後の意識障害の程度が上記の要件を満たす場合、高次脳機能障害の発生が推認されるのは前述の通りです。
ただし、上記の要件を満たさない場合でも、重症~中症の意識障害が短時間、若しくは、軽度の意識障害が相当程度発生した場合には、高次脳機能障害が認められる可能性があります。
頭部外傷後の高次脳機能障害の判断では、総合的な判断が行われますので、意識障害が若干不足していたとしても、脳損傷を裏付ける画像検査結果や症状が明確な場合では、高次脳機能障害が認定されたケースがあります。
頭部外傷による高次脳機能障害は、医学知識が豊富な弁護士にご相談を
高次脳機能障害の認定にあたっては、一般的な後遺障害認定に必要な診断書だけでは足りず、前述したように、事故当初の意識障害の程度を、診断書やカルテ内容から立証する必要などがあります。また、頭部画像の読影力も必要となります(頭部外傷の画像については次章 :高次脳機能障害の画像所見について をご参照ください)。
適切な後遺障害認定獲得のためにも、頭部外傷により交通事故直後に意識障害があった方、高次脳機能障害が疑われる方は、経験豊富な当弁護士事務所にご相談ください。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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