交通事故によるむち打ちで自賠責上14級9号の認定が認められるか(その2)
前回のコラム(その1)では、自賠責は、治療状況や症状推移等から、交通事故による症状が永久残存する(一生続く)と考えられる障害を、後遺障害と認定しているとお伝えしました。
では、治療状況や症状推移等を理由に、症状の永久残存性が認められないのはどのような場合でしょうか。
① 症状の発生時期が遅すぎる場合
むち打ちの場合、基本的には交通事故に遭った初期が最も症状が重く(しびれ等を除く)、時間の経過により徐々に回復していくと言われています。そのため、交通事故から1ヶ月経過後初めて出てきた症状については、もはや交通事故によるものなのかどうか判別し難いと考えられてしまうのです。これは因果関係の問題となります。
当弁護士事務所にご相談される被害者の方の中には、医師にはずっと症状を訴えており、診断書に記載されていないだけである、医師がカルテにその全てを記載してくれなかった、と説明されることがよくあります。
しかし、客観的な証拠である診断書やカルテに記載されていない症状が存在していたことを自賠責に認めてもらうことは一般的には難しいといえます。
② 治療期間中に長期の中断がある場合
治療を継続していた期間に、長く通院していなかった期間がある場合、交通事故を原因とする症状の後遺障害としては認定されなくなる可能性があります。後遺障害が残る程度に継続的な症状が存在するならば、治療を長期間中断するはずがないと考えられるからです。
この場合には、中断した合理的な理由を証明しなければなりません。もっとも、合理的な理由が認められることは相当困難です。仕事を休めず、病院に通う時間的余裕がなかったことだけでは、自賠責は簡単には認めてくれません。
③ 症状に一貫性が認められない場合
診断の都度、訴える症状の部位や内容が大きく異なる場合、症状が交通事故直後の診断書では記載されていたが、症状固定時付近の診断書では記載がなくなったにもかかわらず、後遺障害診断書にはまた記載されている場合など。症状が一貫していないケースでは、後遺障害が認められない可能性が高くなります。
理由は、治療を継続しても一貫した症状が続いていれば、今後も同じ症状が続くであろうと推測されますが、一貫していないと交通事故以外の他の要素が入っていると考えられるからです。
④ 治療期間が短期の場合
交通事故から数ヶ月程度で治療を終えた場合、一生残るものと判断されることは困難です。
実務では、むち打ちについては少なくとも半年以上、整形外科等で通院治療を続け、それでも症状が残っていることが必要と考えられています。むち打ちも一定期間治療することで治る方もいるからです。
(その3)に続きます。
文責プロスト法律事務所(投稿:平成27年10月21日)
(補正:令和元年12月26日)
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