神経機能障害(12級13号・14級9号)の労働能力喪失期間について
神経症状の場合、短期の労働能力喪失期間が主張されることがあります。
自賠責後遺障害認定の実務では、後遺障害は永久に残存するという前提で等級が認定されています。
このため、後遺障害による労働能力喪失期間は、就労可能年限(67歳。但し、高齢者については平均余命の2分の1)まで認められるのが原則です。
しかし、実際には、後遺障害の種類・程度により、加害者側からは短期の労働能力喪失期間が主張され、争いになることが多くあります。
特に、事故による傷害を負った後に残存した後遺障害が「疼痛」や「痺れ」などの「神経症状」の場合、短期の労働能力喪失期間が主張され、争いになります。
典型的なものは「むちうち損傷」による後遺障害です。
むちうち損傷の場合では、裁判所でも14級9号の後遺障害が残存した場合には5年以下の労働能力喪失期間、12級13号の後遺障害が残存した場合には5年~10年の労働能力喪失期間を認定することが多く、一つの基準となっています。
この根拠としては、時間の経過とともに痛みや痺れに馴れることにより労働能力が回復することが考えられることや、若い人であれば将来的に症状が回復する可能性があること等が挙げられます。
短期の労働能力喪失期間を主張する保険会社側
保険会社は、その他の神経症状の場合にも同様の基準を当てはめて、短期の労働能力喪失期間を主張します。
そこで、長期間の労働能力喪失期間が認められるためには、症状が短期で改善しない根拠を示す必要があります。
神経機能障害でも、長期間の労働能力喪失期間が認められる場合
例えば、膝関節の骨折後、膝関節の関節面に不整が残存している場合では、膝関節の関節面の不正癒合という器質的な原因が除去されない限り、疼痛の回復は見込めません。
よって、レントゲンやCTなどで、膝関節面が不整癒合していることを立証することが重要となってきます。
大切なのは神経症状の器質的原因を明らかにすること
適切な労働能力喪失期間が認められるためには、神経症状の器質的な原因を立証することが不可欠になります。
そのためには、神経症状の原因を明らかにし、器質的原因の証明に必要な検査を選択する知識・経験が必要となります。
労働能力喪失期間は、損害賠償の金額に大きく影響を与える問題です。
保険会社から提示された労働能力喪失期間に疑問がある方は、専門家に相談されることをお勧めします。
弁護士 林 征人
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