交通事故により顔面多発骨折。自賠責から醜状障害・歯牙欠損の後遺障害併合１０級の認定。

兵庫県在住のＲさんは、バイクを運転し交差点を直進している際に、突然右折してきた車に衝突されるという交通事故に遭われました。
この交通事故でＲさんは顔面多発骨折と８歯牙欠損の傷害を負い、顔面に複数の線状痕が残ったほか、歯牙欠損部には歯科補綴（ほてつ）が必要となりました。
また、事故後、顔面の骨折部周辺には痛みやしびれ、けいれん等の神経症状が残っていました。

そこでＲさんは、保険会社を通じて後遺障害の事前認定を受けたところ、自賠責は歯牙欠損11級（既存の２歯の補綴を含む）、醜状障害12級、顔面神経障害14級の併合10級の後遺障害が認定されました。
その後、相手方保険会社は、こちらの認定内容をもとに解決金500万円の示談案をＲさんに提示しました。
Ｒさんは、後遺障害等級や示談案が妥当か疑問に思い、当弁護士事務所に来所・相談されました。

逸失利益増額の観点から、後遺障害等級が上昇しない異議申立を提案

まず、当弁護士事務所は、Ｒさんが持参された資料を検討し、醜状障害・歯牙欠損は妥当であるものの、顔面神経症状は12級に上昇する可能性があると見通しを立てました。
Ｒさんの場合、顔面神経障害で12級を獲得しても、併合10級の認定は変わりませんが、当弁護士事務所は敢えてＲさんに異議申し立てを提案しました。

通常、異議申立は後遺障害等級を上昇するために行いますが、本件の場合、既に認められている歯牙欠損や醜状障害は仕事に影響を及ぼさず、逸失利益が認められないことが多いことから、顔面神経障害の後遺障害を獲得するメリットがありました。
当弁護士事務所は、主治医に協力を求め、Ｒさんの顔面骨折の部位と顔面神経の走行部位が合致していること、骨折後の変位により神経を圧迫していることを指摘する意見書を作成。

当該証拠を元に異議申立を行った結果、自賠責から顔面神経障害を12級に見直す内容の認定を受けることができました。

逸失利益や将来の治療費・インプラント費用も認められ総額1461万円で解決！

そこで、当事務所は、認められた後遺障害を基に賠償金を積算し、保険会社との示談交渉を開始しました。
本件では、Ｒさんの強い要望から、将来インプラントが必要になった場合の購入費用や将来治療費も併せて請求を行いました。
その結果、逸失利益や将来治療費・インプラント費用等が認められ、総額1461万円で解決することができました。

後遺障害獲得に当たっては最終的な解決を想定した計画を立てることが重要。

複数の後遺障害が残る交通事故事案では、最終的な解決を想定し、逸失利益や介護費用と直結する後遺障害を重視して後遺障害の獲得を行う必要があります。
Ｒさんの場合、歯牙欠損や醜状障害により重度の後遺障害の獲得はできていましたが、そのままでは逸失利益に直結しないため、賠償金が低く抑えられてしまう状態にありました。
こうした場合では、等級上昇には繋がらなくとも後遺障害の獲得を行う必要が生じてきます。
被害者側弁護士としては、事件の解決に当たって、最終的な解決を想定して計画を立てて取り組むことが重要となるのです。

文責　プロスト法律事務所　弁護士　林　征人

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