大阪にお住いのMさんは優先道路の交差点をバイクで直進中、一時停止を無視して進入してきた車に衝突されるという交通事故に遭われました。
この事故により、Mさんは、右腓骨骨幹部骨折(みぎひこつこっかんぶこっせつ)、右股関節脱臼骨折(みぎこかんせつだっきゅうこっせつ)、頚椎骨折(けいついこっせつ)等のお怪我を負い、約3カ月間の入院を余儀なくされました。
その後も、Mさんは1年近く治療・リハビリを継続しましたが、右足関節の可動域制限や右下腿・足背のしびれ、右股関節の疼痛等の後遺障害が残ってしまいました。
Mさんは、後遺障害申請や加害者側保険会社との交渉の中で妥当な損害賠償金を請求することができるのか不安に思われ当弁護士事務所にご相談されました。
Mさんの後遺障害について検査・調査を実施
当弁護士事務所はMさんのお話を聞き、被害者請求(後遺障害申請)に当たって、各症状について検査・調査を行いました。
まず、右股関節脱臼骨折について、下肢の短縮の有無を確認するため、Mさんに下肢全体のレントゲン撮影を行って頂きました。その結果、右下肢は健側(左下肢)と比較して1㎝以上の短縮が認められました。
次に、右下腿のしびれについて、Mさんに神経伝導検査を受けて頂いたところ、Mさんは神経の伝導速度自体には低下はなかったものの、腓骨神経に活動電位の低下が認められました。当事務所は、当該検査結果について主治医に照会を行い、股関節脱臼による坐骨神経障害と考えるとの意見を取り付けました。
また、足関節可動域制限について、事故当初のレントゲンを精査して腓骨骨幹部骨折の骨折線が足関節まで及んでいることを確認し、足関節可動域制限の原因を明らかにしました。
当弁護士事務所は、これらの医学資料を揃えて後遺障害申請を行いました。しかし、自賠責は右下肢の短縮(後遺障害13級8号)は認めたものの、右下腿のしびれについては14級9号の認定に留まり、足関節の可動域制限については事故との因果関係を認めませんでした。
自賠責異議申立により後遺障害13級から11級に上昇!
当弁護士事務所は、自賠責の判断に納得できず、異議申立を行いました。
原認定は、右下腿のしびれについて、神経伝導検査の結果を異常とは見做しませんでした。そこで、当弁護士事務所は、神経伝導検査の誘発電位の読み方について一般的な判断基準を明らかにし、主治医の判断が当該判断に従った正しいものであることを主張しました。
また、原認定は、足関節の可動域制限について、足関節に骨折等の器質的損傷はないと判断していたため、当弁護士事務所は改めて事故当初のCT画像から骨折線が足関節に及んでいることを明らかにするとともに、当該骨折による右足関節面の骨折拡大を防止するため観血的関節固定術が行われていることを明らかにし、骨折と可動域制限の関係を明確にしました。
これらの証拠を併せて異議申し立てをした結果、自賠責は右足関節可動域制限(12級7号)と右腓骨神経損傷(12級13号)を認め、併合11級を認定しました。
有利な過失割合・逸失利益喪失期間を認定し、合計約1,920万円で解決!
後遺障害等級認定後、当弁護士事務所は認定された後遺障害併合11級を元に損害計算書を作成。加害者側保険会社との損害賠償請求の交渉を開始しました。
Mさんの事案では、逸失利益の労働能力喪失期間や過失割合が主な争点となりました。
後遺障害の逸失利益について、相手方は労働能力喪失期間を10年未満で算出した金額を提示してきましたが、当弁護士事務所はMさんの右足関節の機能障害は永久残存する可能性が高いことを主張しました。
また、過失割合についても、当弁護士事務所は刑事記録等を根拠に相手方に著しい過失があったことを主張しました。
その結果、加害者側保険会社は当弁護士事務所の主張を大幅に受け入れ、当方に有利な逸失利益労働能力喪失期間・過失割合で和解することが出来ました。
最終的にMさんの事案では、合計約1,920万円での解決となりました。
症状に見合った後遺障害の認定、相手方との示談交渉に不安を感じたら
交通事故による後遺障害申請では、症状を裏付ける適切な証拠を収集・提出しなければ、ご本人様が感じている残存症状に見合った等級が認定されません。
交通事故では、後遺障害等級によって損害賠償金額が大きく変わります。適切な損害賠償額で解決するために、一度当弁護士事務所までご相談ください。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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