交通事故後の認知機能障害
被害者のご家族から、交通事故後、被害者本人に「認知症のような症状が出ている」との相談をよく受けます。
ここで特に問題となるのは、交通事故で頭部外傷を負っていないにもかかわらず、事故後に認知機能障害が発生した場合です。
この場合、基本的には高次脳機能障害の問題とはなりません。一般的には、交通事故とは因果関係が認められないと判断されることが多いと思われます。
しかし一定の要件を満たす場合には、的確な診断を受けることにより、交通事故による後遺障害として認定を受けることができる可能性があります。
通常の経過を超える急激な症状悪化
高齢者がケガ・病気などで入院した際に、認知症が悪化したり、寝たきりになってしまったりすることがあるという話はよく知られています。
その多くは、入院が長期に渡ることによって、暮らしに緊張が無くなる、動きが少なくなるなど、環境の大きな変化によるストレスなどによることが原因で、徐々に症状が悪化するというものです。
しかし交通事故後、短期の安静・臥床期間で、著しい認知機能の低下や不穏状態、性格変化が出る場合には、交通事故と因果関係のある廃用症候群・認知障害の可能性があります。
脳画像などの客観的所見
交通事故と認知機能障害の因果関係が認められるためには、事故後に症状が発生しているだけでは要件を満たさず、認知機能障害を示す客観的な所見が必要となります。
当弁護士事務所で経験した例では、交通事故後に脳画像を撮影したところ、交通事故後に急激な脳萎縮の進行が認められたことから、「認知機能障害を示す客観的所見」と認められました。
近年では、認知機能障害の検査としてPET・SPECTなどの検査の有効性が指摘されております。これらの検査は、脳の血流や代謝を画像化したものであり、脳の働きを掴むことができるため、認知機能障害の画像所見として有用です。
今後、交通事故後の認知機能障害の所見として、これらの検査を有効利用できないか、注目したいところです。
上記の要件に加え、交通事故後の認知機能障害は極めて複雑な問題であるため、専門医の診断を受ける必要があります。
特に、高齢者の認知機能障害などは、経験豊富な脳の専門医の診察を受けることにより、交通事故との因果関係に有用な所見を得られる可能性があります。
交通事故後の認知機能障害の発生・悪化については、後遺障害が認められることが難しい態様の一つです。
しかし、当弁護士事務所の経験上、特徴的な症状経過や必要な検査結果などの要件を揃えることにより、後遺障害を獲得できる可能性があります。
認知機能の障害は、将来の生活・介護の必要性にも関わる重大なものですので、慎重に検討する必要があります。
<関連する解決事例>
①事故後高度の認知症が発症。交通事故との因果関係が認定された事例
②廃用症候群|交通事故による大腿骨骨折後、急激に認知症が悪化し、寝たきり状態となった高齢の被害者について、交通事故との因果関係が認められた事案
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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