交通事故の損害賠償事件においては、後遺障害等級が重要ポイントだとよく言われます。
では、具体的にどのような内容に差が生じるのでしょうか。
代表的なものをみてまいります。

１）自賠責保険からおりる保険金について

　自賠責保険から支払われる保険金は傷害分と後遺障害分がありますが、このうち、後遺障害分は、まさに後遺障害等級によって金額が決まります。

２）損害賠償請求の場面について

　　まず、後遺障害に対する慰謝料が認められており、これは等級によって決まっています。もちろん、「精神的苦痛を慰藉する」ための項目ですから、他の理由による増減もあり得ますが、基本的には等級に応じて一定額が決まっています。

　　次に、後遺障害による逸失利益が挙げられます。
これは、交通事故前の労働能力をどれだけの割合で、何年にわたって喪失したかという内容で計算される損害項目であり、これも等級によって一定の基準があります。
基本的には、後遺障害が重いほど、高い割合で、長期にわたって喪失したとされるため、いわば掛け算式に増えることになり、大きな差となります。

　　これら以外にも、非常に重篤な後遺障害を残した方であれば、周囲のご家族などの看護費用が認められるかという点や、または逆に、比較的軽いむちうちの神経症状（１４級９号）の場合、通院慰謝料（傷害慰謝料ともいう）の減額が生じうる点など、いろいろな場面で影響が出ます。

このように、後遺障害等級は、交通事故被害者の方が獲得する損害賠償金等の基礎・基準を形づくるものです。したがって、当弁護士事務所では、自賠責で適正な等級を獲得すること（既に等級を獲得されている方については、それが適正なのかどうか見定めること）を、特に重視しています。

弁護士　倉田 多佳子

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